建設業の賃上げ動向は、業界の将来を左右する重要なテーマです。人手不足と働き方改革を背景に、賃金の引上げが進んでいます。この記事では、近年の建設業の賃上げ動向と今後の見通しを解説します。
賃金の動向は、単なる数字の問題ではなく、業界で働く人の生活やキャリアの安心に直結するテーマでもあります。現場で働く方にとっては、自分の努力がどう評価されるかを判断する材料になりますし、これから入職を考えている方にとっては業界の将来性を見るうえで欠かせない指標になります。
近年の賃上げ動向
近年の建設業の賃上げ動向を紹介します。
- 継続的な賃上げ
- 他業種より高い上昇率
- 人手不足への対応
- 労務費の上昇
- 公共工事の労務単価上昇
- 民間工事への波及
直近の傾向としては、春闘の水準が他産業と比べても遜色ない、あるいは上回るケースが目立つようになってきました。ゼネコンを中心とした大企業だけではなく、専門工事業や地場の建設会社でも引上げに動く事例が増えている傾向があります。
背景には、ひとつの現場で必要な人手を集めにくくなっていることや、若手層の入職を促す必要性が高まっていることがあります。賃上げの波は一時的なものではなく、構造的な変化として定着しつつあると受け止める見方も広がっています。
賃上げの背景
賃上げの主な背景を紹介します。
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| 人手不足 | 需要に対する供給不足 |
| 高齢化 | 熟練者の減少 |
| 若手確保 | 他業界との競争 |
| 働き方改革 | 時間あたり単価向上 |
| 物価上昇 | 生活費の高騰 |
これらの要因は互いに連動しています。たとえば熟練層の引退が進むと、残された現場の技能を支える若手や中堅の価値が相対的に高まり、結果として賃金を上げなければ人材を確保できない状況になります。働き方改革で時間外労働が制限されれば、同じ成果を出すために時間あたりの生産性と単価を上げる必要も出てきます。
公共工事設計労務単価
公共工事設計労務単価の上昇を紹介します。
- 国交省が毎年公表
- 継続的な上昇
- 2013年以降の上昇トレンド
- 職種別に設定
- 地域別に設定
- 賃上げの基準
公共工事設計労務単価は、公共事業を発注する際の積算基準となる数字で、毎年改定が行われています。民間工事の労務費交渉でも参考値として使われることが多く、業界全体の相場観を示す役割を担っています。単価が上がるということは、発注者側も労務費を厚めに見込むということで、現場で働く人の収入を底支えする仕組みになっています。
職種別の動向
職種別の賃上げ動向を紹介します。
- 施工管理技士:大幅上昇
- 1級建築士:上昇
- 熟練職人:特に高い上昇
- 若手:初任給の引上げ
- 技能労働者:継続上昇
- 全職種で上昇傾向
特に需要に対して供給が追いつかない職種ほど、上昇幅が大きくなる傾向が見られます。現場を取りまとめられる施工管理の経験者や、長年培った手仕事の感覚を持つ熟練職人は、どの現場でも歓迎される存在で、声を掛けられる回数が増えれば自然と処遇も良くなっていきます。
地域別の動向
地域別の賃上げ動向を紹介します。
- 都市部:需要に応じた上昇
- 地方:徐々に追随
- 地域格差は縮小傾向
- 熟練者は全国的に高単価
- 公共工事労務単価の影響
都市部では再開発やインフラ更新の工事量が多く、人材の奪い合いが起きやすい状況にあります。一方、地方でも災害復旧や老朽インフラの維持補修の需要があり、熟練者を中心に単価が引き上がってきています。地域を問わず、技能と経験が評価される流れは共通しています。
大手ゼネコンの動き
大手ゼネコンの賃上げ動向を紹介します。
- 毎年の賃上げ実施
- 初任給の大幅引上げ
- ベースアップ
- 賞与の増額
- 人材確保の意識
- 業界をリード
大手ゼネコンは採用戦線の最前線に立っているため、他業界の水準も意識した賃金改定を行う傾向があります。新卒初任給の引上げはニュースになりやすく、業界全体の相場観をつくる役割を果たしています。結果として、専門工事会社や地場の建設会社もこの流れを無視できなくなり、段階的に処遇を改善する動きが広がっています。
中小企業の動向
中小企業の動向を紹介します。
- 賃上げの必要性
- 原資の確保が課題
- 単価転嫁の動き
- 労務費調査の活用
- 経営努力
- 徐々に上昇
中小企業では、賃上げをしたくても原資をどう確保するかが大きな悩みになります。そのため、元請に対して労務費をきちんと見込んでもらうよう交渉したり、業務の段取りを見直して生産性を上げたりといった地道な努力と合わせて、徐々に処遇改善を進めているところが多い傾向があります。
国の賃上げ政策
国の賃上げ関連の政策を紹介します。
- 賃上げ促進税制
- 最低賃金の引上げ
- 公共工事労務単価
- 建設技能者の処遇改善
- CCUSの推進
- 業界全体への働きかけ
国は業界団体と連携しながら、建設業で働く人の処遇改善を後押ししています。建設キャリアアップシステム、いわゆるCCUSの普及により、経験や保有資格が客観的に記録されるようになれば、その実力に応じた賃金を支払うための共通基盤が整っていきます。
処遇改善の取組み
処遇改善の取組みを紹介します。
- 賃金の見える化
- 資格手当の充実
- 技能レベルに応じた賃金
- CCUSレベル認定
- 退職金制度の充実
- 福利厚生
単に基本給を上げるだけでなく、資格手当や役職手当など項目ごとに見直す会社も増えています。働く人から見れば、何をすれば給与が上がるのかが明確になり、キャリアの設計がしやすくなります。退職金や社会保険など、将来を見据えた制度の整備も、処遇改善の大事な一部です。
若手の初任給
若手の初任給の動向を紹介します。
- 大卒初任給:継続上昇
- 2024年以降の大幅引上げ
- 他業界との競争
- 20万円台後半が標準化
- 大手は30万円前後も
- 高卒も上昇
若い世代を呼び込むためには、入職時点の給与が他業界と比べて見劣りしないことが条件になります。大手で初任給が大きく引き上げられたことを受けて、中堅・地場の企業でも相場を意識した見直しが進んでおり、若手を迎え入れる環境は以前より良くなってきています。
職人の日当
職人の日当の動向を紹介します。
- 全国的に上昇
- 熟練者は1.5〜2万円
- 都市部はさらに高い
- 一人親方はさらに高単価
- 需要に応じた変動
- 資格・経験で差
日当制で働く職人は、腕次第で収入が大きく変わる世界です。現場ごとに声が掛かる熟練者は、引く手あまたになれば単価が自然と上がっていきます。資格を持っているか、特殊工法に対応できるか、段取りを仕切れるかといった要素が、日当の差として表れる傾向があります。
今後の見通し
今後の賃上げ見通しを紹介します。
- 継続的な上昇予測
- 人手不足の継続
- インフレとの関係
- 働き方改革との連動
- 業界全体の改善
- 長期的な上昇トレンド
今後も、人手不足が短期間で解消される見込みは薄いため、賃上げの流れは続くと見込まれます。ただし、すべての会社が一律に上がるわけではなく、経営努力や発注条件の違いで会社ごとの格差が広がる可能性もあります。働く側としては、どの会社を選ぶかがより重要になってきます。
賃上げを享受するには
賃上げを享受するためのポイントを紹介します。
- 資格の取得
- 技能の向上
- 会社選び
- 交渉の機会
- 市場価値の維持
- 継続的な学習
業界全体の賃上げの波に乗るためには、自分自身の市場価値を意識して高めていくことが大切です。新しい工法や機械、デジタルツールに積極的に触れるだけでも、評価される場面が増えます。日々の仕事の中で成長の機会を意識的に拾っていく姿勢が、結果として処遇につながっていきます。
賃金交渉のタイミング
賃金交渉のタイミングを紹介します。
- 年度始めの評価面談
- 資格取得直後
- プロジェクト完了後
- 転職時
- ベースアップ時期
- 成果を出した時
交渉と聞くと身構えてしまう方も多いですが、要は「自分がどれだけ役に立っているか」を具体的な事実で示す場だと捉えると気が楽になります。日頃から自分の担当現場や習得した技能を記録しておくと、いざ話し合いの場になったときに冷静に材料を並べることができます。
まとめ
建設業の賃上げは、継続的なトレンドとして進んでいます。人手不足の解消には賃金引上げが不可欠であり、今後も上昇傾向は続く見込みです。自分の市場価値を高める努力で、賃上げの恩恵を最大限受けましょう。
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