労働安全コンサルタントは、事業場の安全管理に関する指導・診断を行う国家資格者です。独立した立場から企業の安全活動を支援する専門家として、建設業界でも需要が高まっています。この記事では、労働安全コンサルタントの資格と取得・キャリアを解説します。

建設業界で長く働く中で「現場の安全をもっと根本から改善したい」と考えるようになる方は少なくありません。そうした想いを形にできるのが労働安全コンサルタントという選択肢です。現場経験を存分に活かしながら、次のステージで活躍できる道が開けます。

労働安全コンサルタントとは

労働安全コンサルタントは、労働安全衛生法に基づく国家資格で、事業主の求めに応じて、事業場の安全について診断・指導する専門家です。独立した第三者の立場から、安全管理を支援します。

企業の内部だけでは見えにくい問題を、外部の専門家が客観的な視点で洗い出せるのが大きな強みです。その立場上、誠実さと高い倫理観が求められる職種でもあります。単に知識を持っているだけでなく、相手に寄り添って改善を促せる人柄も大切な要素です。

  • 事業場の安全診断
  • 安全管理体制の改善提案
  • 災害原因の調査
  • 安全教育の実施
  • 安全計画の策定支援
  • リスクアセスメント

資格の特徴

労働安全コンサルタントの主な特徴を紹介します。

この資格は現場たたき上げの方がセカンドキャリアとして目指すケースが多い傾向があります。現場で長く安全管理に携わってきた経験は、机上の勉強だけでは得られない貴重な財産となり、顧客企業への提案にも深みを持たせてくれます。

  • 独立した立場での活動
  • 事業主の求めに応じる
  • 高度な専門知識が必要
  • 独立開業が可能
  • 社会的信用が高い

受験資格

労働安全コンサルタント試験の受験資格は複数あります。

資格・学歴必要な実務経験
1級建築・土木施工管理技士実務経験10年以上
大学卒業(理工系)安全衛生の実務経験5年以上
高校卒業安全衛生の実務経験10年以上
厚生労働大臣認定の学歴・経験個別判断

試験の区分

労働安全コンサルタント試験には、5つの試験区分があります。

それぞれの区分は専門性が明確に分かれており、自分がこれまで歩んできた経歴と深く関わる分野を選ぶのが一般的です。建築工事と土木工事のどちらが自分の強みかを考えて受験区分を決めると、学習もスムーズに進めやすくなります。

  1. 機械安全:機械の安全
  2. 電気安全:電気の安全
  3. 化学安全:化学物質の安全
  4. 土木安全:土木工事の安全
  5. 建築安全:建築工事の安全

建設業界で活躍するなら、土木安全または建築安全を選びます。

試験の内容

労働安全コンサルタント試験の内容を紹介します。

  • 筆記試験:択一式と記述式
  • 口述試験:面接形式
  • 試験時期:年1回(10月頃)
  • 試験時間:合計約5時間
  • 受験料:24,700円

筆記試験の科目

筆記試験で問われる主な科目は以下のとおりです。

  • 産業安全一般
  • 産業安全関係法令
  • 機械等の構造
  • 土木工事(または建築工事)の安全
  • 安全管理の実務

合格率

労働安全コンサルタント試験の合格率は、以下のとおりです。

  • 筆記試験:25〜35%
  • 口述試験:70〜80%
  • 最終合格率:20〜30%

難関資格ですが、計画的に対策すれば合格可能です。

免除制度

一定の条件を満たすと、試験の一部が免除されます。

  • 技術士(建設部門等):筆記試験の一部免除
  • 1級施工管理技士:筆記試験の一部免除
  • 1級建築士:筆記試験の一部免除
  • 一定の実務経験者:別の免除

取得後のキャリア

労働安全コンサルタントを取得した後の主なキャリアは以下のとおりです。

資格取得後のキャリアは一本道ではなく、自分の志向に合わせて柔軟に選ぶことができます。企業に属して安定した働き方を選ぶ人もいれば、独立して自分のペースで活動する人もいます。豊かな経験を持つ方ほど、選択肢が広がる資格だと言えるでしょう。

  1. 企業の安全管理部門:ゼネコン等
  2. 独立開業:コンサルタント事務所
  3. 安全衛生研修講師:教育機関
  4. 労働基準監督署等:行政機関
  5. 大学等の研究機関

独立開業の道

労働安全コンサルタントは、独立開業しやすい資格の1つです。

独立にあたっては、これまでの現場で培ってきた人脈が大きな力になります。過去に関わった会社や職場の知り合いから最初の仕事を紹介してもらうケースも多く、地道に築いてきた信頼関係がそのまま事業の礎となります。長年の現場経験者には強い追い風となる資格です。

  • 初期投資が少ない
  • 人脈を活かして顧客獲得
  • 企業との顧問契約
  • 講演・研修業務
  • 書籍執筆等の副収入

年収の目安

労働安全コンサルタントの年収目安は以下のとおりです。

  • 企業の安全管理職:700〜1,000万円
  • 独立開業(1〜3年目):500〜800万円
  • 独立開業(軌道に乗ると):800〜1,500万円
  • 有名コンサルタント:2,000万円超も

勉強法

労働安全コンサルタント合格のための勉強法を紹介します。

働きながら合格を目指す方が多いため、限られた時間をどう使うかが勝負になります。自分の現場経験を文章や口頭で説明できるレベルまで整理しておくことが、記述試験や口述試験で大きな武器になります。日頃から「なぜこうするのか」を言葉にする習慣をつけておくとよいでしょう。

  • 過去問題集の繰り返し
  • 関連法令の熟読
  • 予備校・通信講座の活用
  • 実務経験の体系化
  • 口述試験の模擬練習
  • 勉強時間:500〜800時間

まとめ

労働安全コンサルタントは、安全管理のプロとして独立した立場で活躍できる国家資格です。難関ですが、取得すれば高い社会的信用と独立の道が開けます。建設業界での長年の経験を活かしてキャリアチェンジしたい方におすすめの資格です。

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