木造建築と言えば戸建て住宅のイメージが強いですが、近年はCLT工法の普及により、中高層の木造建築が現実のものとなっています。脱炭素化の流れの中で、木造高層建築は大きな注目を集めています。この記事では、木造高層建築の最前線を紹介します。

CLT工法とは

CLT(Cross Laminated Timber)は、直交集成板と呼ばれる新しい木質材料です。これまで木造には難しいとされてきた中高層建築の扉を開いた材料として、業界内外から熱い視線を集めています。

  • 木材を繊維方向が直交するように積層
  • 高い強度と寸法安定性
  • 鉄やコンクリートに近い性能
  • 耐火性能の向上
  • 中高層建築が可能

CLTはパネル状で工場から運ばれてくるため、現場での組立て作業は比較的短時間で済みます。音も粉塵も少なく、都市部の建替え工事との相性がよい点も魅力として語られています。

木造高層建築のメリット

木造高層建築には以下のメリットがあります。環境面だけでなく、施工面や居住面でもさまざまな利点が指摘されています。

  • CO2の固定効果
  • 建築時のCO2排出削減
  • 軽量で基礎工事が小規模
  • 工期の短縮
  • 木の温もりのある空間
  • 森林資源の有効活用
  • 国産材の需要拡大

木の持つ調湿性や柔らかな手触りは、オフィスや住宅の内装に取り入れたとき、利用者の居心地のよさに直結します。機能性だけでは語れない「人にやさしい空間」をつくれるのも、木造ならではの良さだといえるでしょう。

海外の先進事例

海外では既に多くの木造高層建築が実現しています。先行する国々の取り組みを見ると、日本がこれから進むべき方向のヒントが見えてきます。

建物階数・高さ
ミョーストーネット(ノルウェー)18階・85.4m
アスコーフン(スウェーデン)20階・80m
ブロック・コモンズ(カナダ)18階・53m
HoHo Wien(オーストリア)24階・84m

海外事例を学ぶうえで大切なのは、その国の木材事情や法制度の背景と合わせて理解することです。単に「海外でできたから日本でもできるはず」と捉えるのではなく、日本の気候風土や地震事情に合わせた工夫を重ねていく姿勢が求められます。

日本の木造高層プロジェクト

日本でも木造高層建築の取り組みが進んでいます。大手ゼネコンから地域の設計事務所まで、幅広いプレイヤーが関心を寄せている分野です。

  • 仙台市の中層木造オフィスビル
  • 大手ゼネコンの自社ビル
  • 大学の研究棟
  • 高層木造ホテルの計画
  • 超高層木造への挑戦

自社ビルや研究棟として木造を採用するケースが増えているのは、会社や大学にとってそれ自体が環境姿勢を示すメッセージになるからです。ブランディングの観点でも、木造高層建築の存在感はこれから一段と大きくなっていくでしょう。

法規制の緩和

木造高層建築を可能にする法規制の緩和が進んでいます。制度の変化が技術の進歩を後押しし、逆に技術が制度の見直しを促すという、良い循環が生まれています。

  1. 2000年:建築基準法改正
  2. 2010年:公共建築物木材利用促進法
  3. 2016年:CLT関連告示の整備
  4. 2019年:耐火設計の柔軟化
  5. 2021年:脱炭素社会に向けた法改正

制度の動向は実務に直結するため、設計者や施工者だけでなく、現場で材料を扱う職人さんにとっても押さえておきたい情報です。最新のルールを知っていることが、提案力や対応力の差につながります。

求められる技術と課題

木造高層建築には新しい技術と課題があります。従来の木造住宅で培われてきた技術と、新しい工法への対応力の両方が求められます。

  • 耐火性能の確保
  • 遮音性能の向上
  • 接合部の高度化
  • 長寿命化への対応
  • 木材の調達・加工
  • 施工管理の新技術

耐火や遮音など、これまで木造が不利とされてきた分野での技術開発が日進月歩で進んでいます。新しい情報に触れ続ける柔軟さが、木造高層時代を生き抜く技術者に必要な素養だといえるでしょう。

大工・職人の新需要

木造高層建築の普及は、職人需要にも影響します。伝統の木造技術と最新のデジタル技術を橋渡しできる人材が、これからますます重宝されていきます。

  • CLT施工経験者の需要
  • 大断面木材の扱い
  • 接合金物の施工技術
  • 精密な施工精度
  • BIMと連携する能力

これまでの木造住宅の経験を持つ大工さんにとっても、CLTや大断面木材への対応は新しい挑戦となります。基礎となる木への理解があるからこそ、新工法も早く自分のものにできるはずです。

国産材活用の意義

国産材を使った木造建築は、林業振興の観点でも重要です。建築と林業は車の両輪の関係にあり、片方だけでは健全な循環は生まれません。

  • 森林の循環利用
  • 林業の活性化
  • 地域経済の発展
  • 輸送のCO2削減
  • 伝統的な木工技術の継承

地元の山で育った木を使って地域の建物を建てるという流れは、単なるエコの話に留まりません。地域の誇りを目に見える形で残していく取り組みとして、建設業が果たせる役割は非常に大きいといえます。

今後の展望

木造高層建築の今後の展望を紹介します。これからの建設業界で存在感を増していく分野のひとつとして、注目しておきたいテーマです。

  • 30階建てを超える超高層木造
  • ハイブリッド構造の発展
  • 複合施設への採用拡大
  • 公共建築物での活用
  • 住宅から事務所・ホテルへ

用途の多様化に伴って、木造高層建築は一部の実験的なプロジェクトから、広く一般に使われる建築のスタイルへと広がりつつあります。今のうちに知識と経験を積んでおくことが、将来の武器になるはずです。

まとめ

木造高層建築は、脱炭素時代の新しい選択肢として注目されています。CLT工法の普及とともに、今後ますます採用事例が増えるでしょう。建設業界で働く方にとって、木造高層建築に関する知識は、これからのキャリアで大きな強みになります。

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