外国人技能実習生や特定技能外国人と一緒に働く建設現場が増えています。日本人の熟練作業員として、彼らとどうコミュニケーションを取り、チームで働くか。50代の鉄筋工Lさん(仮名)に話を伺いました。言葉の壁を超えた現場での工夫と課題を紹介します。
建設業界の人手不足は年々深刻さを増しており、外国人労働者の存在は日本の現場を支える大きな力となっています。文化や言語の違いを乗り越えて一つのチームをつくりあげていく姿は、これからの建設現場のあり方を考える上で貴重な示唆を与えてくれます。
取材対象:Lさん(仮名)のプロフィール
- 年齢:52歳
- 職種:鉄筋工(職長)
- 経験年数:30年
- 所属:中堅鉄筋工事会社
- 現場での立場:外国人実習生を含む8名の班の職長
現場の外国人労働者の状況
Lさんの現場では、ベトナム・インドネシア・ミャンマー出身の技能実習生・特定技能外国人が5名働いているそうです。在留期間は1年目から5年目までさまざまです。
来日したばかりの若者と、日本の現場にすっかり馴染んだベテランの実習生が一緒に働く光景は、今や珍しくありません。先輩にあたる実習生が後輩の面倒を見たり、言語の通訳をしたりする姿もよく見られるといいます。
- 1〜3年目:技能実習2号で就労
- 4〜5年目:特定技能1号に移行
- 年齢:20代が中心
- 日本語レベル:N4〜N3が多数
コミュニケーションの工夫
言葉の壁を越えるために、Lさんはさまざまな工夫をしています。
Lさんは「伝える」だけでなく「伝わったか確認する」ことを大切にしているそうです。指示を出した後に必ず復唱してもらい、お互いが同じ理解を持てているか確かめる習慣が、事故やミスを防ぐことにつながっていると話してくれました。
| 工夫 | 具体例 |
|---|---|
| やさしい日本語 | 専門用語を避けシンプルに |
| 視覚的な指示 | ジェスチャー・図で伝える |
| 翻訳アプリの活用 | スマホで音声翻訳 |
| 写真・動画 | 作業方法を実演 |
| 繰り返し確認 | 「わかった?」と丁寧に |
彼らの働きぶり
Lさんが見る、外国人労働者の印象を聞きました。
「真面目で一生懸命な子が多いです。日本に来るまでに母国の日本語学校でしっかり勉強してきているし、家族のために稼ぎたいという気持ちが強い。技術の覚えも早いですね。」
- 時間を守る
- 指示に素直に従う
- 技術の習得が早い
- 礼儀正しい
- 人間関係を大切にする
苦労する点
一方で、苦労する点もあるそうです。
日本独特の曖昧な言い回しや、察する文化は、海外出身の方にとって難しい部分です。はっきり言葉にして伝えることを心がける必要があり、Lさん自身も日々その大切さを学び直していると話していました。
- 細かいニュアンスが伝わりにくい
- 専門用語の理解が難しい
- 文化的な習慣の違い(宗教・食事)
- 家族のことで精神的に不安定になることも
- 高度な判断が必要な作業を任せにくい
安全教育の工夫
外国人労働者への安全教育は特に慎重に行う必要があります。Lさんの現場での工夫は次のとおりです。
事故は言葉の通じにくさから生まれることが多いとLさんは感じています。だからこそ、目で見て分かる教材や、実際の動きで示す教え方が最も効果的だと実感しているそうです。
- 母国語の安全資料を用意
- 動画で作業手順を見せる
- 模擬演習で体感させる
- 定期的に理解度を確認
- ヒヤリハット事例を共有
日本人側が学ぶべきこと
Lさんは、日本人側にも歩み寄りが必要だと言います。「偉そうに命令するのではなく、同じ仲間として接することが大切です。言葉が違うだけで、同じプロの作業員ですから。」
- 相手の文化への理解
- 丁寧で明確な指示
- 困っているときのサポート
- 成果を認めて褒める
- 一緒に食事をする等の交流
多様性のある現場の魅力
外国人労働者が増えたことで、現場にも変化があったそうです。
休憩時間には、母国の料理や家族の話で盛り上がることもあるそうです。こうした日常の交流が、お互いの距離をぐっと縮めていきます。単なる仕事仲間ではなく、文字通りの「仲間」へと関係が深まっていく感覚をLさんは大切にしているそうです。
- 若い世代が増えて活気がある
- 異文化への理解が深まる
- 国際感覚が身につく
- 後継者不足が少し解消
- 会社の雰囲気が明るくなる
制度的な課題
技能実習制度・特定技能制度にも課題は残っています。実習期間の短さ、家族帯同の制限、在留期間の上限など、労働者側に厳しい面もあります。今後、制度改善が進むことが期待されています。
Lさんは「せっかく技術を身につけて頼りになるようになったのに、在留期間が終わって帰国せざるを得ないのは会社にとっても本人にとっても残念なこと」と話します。現場で一生懸命に働く人がより長く安心して働ける仕組みができれば、日本の建設業界にとっても大きなプラスになると感じているそうです。
これから一緒に働く日本人へ
「これから外国人と一緒に働くことになる日本人の皆さんに伝えたいのは、『言葉の壁はあっても、仲間は仲間』だということです。相手を尊重し、丁寧に教えれば、必ず良いチームになれます。日本人だけの現場より、むしろ学ぶことが多いですよ。」
まとめ
Lさんの経験は、多様化する建設現場での日本人職人のあり方を示しています。言葉や文化の壁を越えたコミュニケーションは、現代の建設業界に欠かせないスキルです。外国人労働者を「助っ人」ではなく「仲間」として受け入れる姿勢が、健全な現場作りの第一歩と言えるでしょう。
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