屋根工事一筋20年、42歳の屋根職人Yさん(仮名)にお話を伺いました。空に近い場所で働く屋根職人の誇りと苦労、そしてこの仕事の魅力について率直に語ってくれました。
インタビューの中でYさんが何度も口にしていたのは「屋根は家を守る最後の砦」という言葉でした。住まい手の暮らしを長い年月にわたって支え続ける屋根を作ることに、強い使命感を持っておられるのが印象的でした。
取材対象:Yさん(仮名)のプロフィール
まずはYさんの基本情報を整理しておきます。現場歴の長さと保有資格を見ると、屋根工事という仕事の専門性の高さがよく分かります。
- 年齢:42歳
- 職種:屋根工(瓦・金属屋根)
- 経験年数:20年
- 現職:屋根工事会社の班長
- 得意分野:和瓦・金属屋根
- 保有資格:瓦葺き技能士1級、足場組立、屋根工事施工技能士
現在は4〜5名の班を率いながら、若手の技能指導にも積極的に関わっています。班長として工程や安全の管理も任されており、現場では頼れる兄貴分として慕われているそうです。
屋根職人になったきっかけ
「高校卒業後、何をしていいかわからず、アルバイトを転々としていました。22歳の時、親戚の紹介で屋根工事会社に入社しました。最初は『きついし暑いし最悪』と思っていましたが、だんだん面白さがわかってきました。」
入社当初は高所での作業に恐怖感があり、毎朝現場に向かう足取りが重かったといいます。それでも先輩から少しずつ手ほどきを受け、自分が葺いた瓦がきれいに並ぶ感覚を覚えた頃から、仕事への見方が少しずつ変わっていったそうです。
屋根工事の種類
屋根工事には様々な種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 和瓦 | 伝統的・重厚 |
| 洋瓦 | 洋風住宅向け |
| 金属屋根 | 軽量・耐久性 |
| スレート屋根 | コロニアル等 |
| アスファルトシングル | 低コスト |
| 緑化屋根 | 環境配慮型 |
Yさんはこれらの工法を一通り手がけた経験があるといいます。材料ごとに扱い方やコツが異なるため、どの工法を選んでも一人前になるには長い年月の修業が必要だと強調していました。
1日の流れ
Yさんの1日の流れを教えてくれました。
- 6:00 起床・朝食
- 7:00 出発
- 8:00 現場到着・準備
- 8:30 作業開始
- 10:00 休憩
- 12:00 昼食
- 13:00 午後作業
- 15:00 休憩
- 17:00 作業終了
- 18:00 帰宅
朝のうちに天気予報を細かく確認し、風向きや雨雲の動きを見て一日の段取りを組み直すことも多いそうです。屋根の上は天候の影響を直接受けるため、臨機応変な判断が職人の腕の見せどころでもあります。
仕事のやりがい
屋根工事のやりがいを語ってくれました。
「屋根が完成した時の達成感は格別です。遠くから見ても、自分が葺いた屋根はすぐにわかります。その家族の生活を何十年も雨風から守っていく。シンプルだけど尊い仕事だと思っています。特に伝統的な和瓦を葺いた時の美しさは、何物にも代えがたいですね。」
引き渡しの日に住まい手から「これで安心して暮らせます」と声をかけられた時は、20年続けてきて良かったと改めて感じるそうです。地域の街並みを作っているという自負が、日々の励みになっています。
印象に残る現場
印象に残る現場を教えてくれました。
「築150年の古民家の屋根を葺き替えた時のことです。先代・先々代の職人の仕事を見ることができました。技術は昔の方が細かく丁寧で、驚くことが多かったです。自分もこの屋根を100年後に残したいと思って、全力で仕事をしました。」
当時の職人が残した墨付けや継ぎ手の工夫を目にして、時代を超えて技が引き継がれていることを実感したといいます。その経験は、自分の仕事にも新たな誇りをもたらしてくれたそうです。
高所作業の怖さ
屋根工事の怖さについて聞きました。
- 急勾配屋根の滑落リスク
- 突風による転落
- 雨天後の滑り
- 3階以上の高さ
- 道具の落下
- 熱中症の危険
「安全帯は絶対に外しません。一瞬の気の緩みが命取りになる仕事です。事故を目の当たりにした同業者もいます。家族のためにも、安全第一です。」
班長になってからは、朝礼で必ず危険箇所を確認し合う時間を設けているそうです。自分だけが無事に帰ればよいのではなく、仲間全員が無事に家族のもとへ帰ることが何よりの目標だと語ってくれました。
夏と冬の厳しさ
季節ごとの厳しさを教えてくれました。
- 夏:屋根の上は60度超え
- 夏:熱中症との戦い
- 冬:風が強く体感温度が低い
- 冬:凍結で滑りやすい
- 梅雨:雨で作業不可
- 台風前:緊急対応の繁忙期
夏は塩分や水分を常に補給しながら、こまめな休憩を欠かさないそうです。冬は防寒着を着込んでも指先がかじかむため、細かい作業が難しくなると話していました。
20年間の体の変化
20年間で感じた体の変化を聞きました。
「20代の頃は、どれだけ働いても疲れませんでした。40代になると、さすがに無理が効きません。腰・膝は定期的にケアしています。筋トレとストレッチは日課です。長く続けるには体のメンテナンスが必須ですね。」
健康診断を毎年受けるようになったのも40代になってからだそうです。食事や睡眠にも気を配り、長く現役を続けるための体づくりを意識していると話していました。
班長としての役割
班長としての役割を語ってくれました。
- 若手の指導・育成
- 工程管理
- 品質チェック
- 安全管理
- 施主との打合せ
- 材料の手配
若手の個性を見ながら教え方を変えるよう心がけているそうです。叱るだけでなく、良い仕事ができた時はしっかり認めることが、若手の成長と定着につながると実感しています。
技術伝承の課題
屋根工事の技術伝承の課題について話してくれました。
- 若手不足の深刻化
- 伝統技術の継承者
- 職人の高齢化
- 若者に魅力を伝える難しさ
- 待遇改善の必要性
昔ながらの「見て覚えろ」という指導法だけでは若手が定着しないという現実を、Yさんも肌で感じています。手順を言葉で丁寧に説明し、動画を活用するなど、伝え方そのものを工夫する必要があると話してくれました。
若手への期待
若手職人への期待を語ってくれました。
「若い人たちには、基本を大切にしつつ、新しい技術や発想も取り入れてほしいです。伝統を守りながら進化させる。それが次世代の役割だと思います。自分もまだまだ現役で、一緒に学び続けていきたいです。」
これから屋根工を目指す方へ
これから屋根工を目指す方へのメッセージです。
「屋根工事はきつい仕事です。でも、やりがいと誇りのある仕事です。手に職をつけたい、体を動かす仕事がしたい、目に見える成果を残したい。そんな方には向いています。一度見学に来てください。現場の雰囲気を感じてもらえば、きっと興味が湧くと思います。」
未経験からでも、素直に学ぶ姿勢さえあれば必ず成長できるとYさんは言います。年齢や学歴よりも、続ける意志の強さが何よりも大事だと話してくれました。
まとめ
Yさんの20年のキャリアは、屋根工事という仕事の奥深さと職人の誇りを教えてくれます。きつさの中にあるやりがい、技術の継承への想い——これから屋根工を目指す方にとって、大きな励みになる事例です。
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