大学生時代に建設会社でインターンを経験し、そのまま正社員になった24歳のOさん(仮名)にお話を伺いました。インターンでの経験がどう就職活動に活きたか、入社後のリアルと、これから建設業界を目指す学生へのアドバイスを語ってくれました。
建設業界を志望する学生にとって、実際の現場の空気を知ることは何よりも貴重な経験です。Oさんの歩みは、特別なコネや華やかな肩書きがあったわけではなく、素直に一歩踏み出した学生が、現場と出会い、会社と出会い、自分の将来像を少しずつ形にしていった物語でもあります。
取材対象:Oさん(仮名)のプロフィール
- 年齢:24歳
- 学歴:大学工学部 建築学科卒業
- 現職:中堅ゼネコンの施工管理技士(2年目)
- 所属:中堅建設会社
- インターン経験:大学3〜4年時の長期・短期インターン
同年代の学生と比べて特別に優秀というわけではなかったそうですが、「気になることは早めに試してみたい」という性格が、インターンという選択につながっていきました。大学で学んだ図面や構造の知識が、現場でどう生きるのかを知りたいという好奇心が出発点だったといいます。
インターンを始めたきっかけ
「大学3年の夏休み、建設会社のインターンシップに応募しました。きっかけは、授業で学ぶ建築の知識が実際の現場でどう使われているか知りたかったからです。」
Oさんは建築学科で学んでいましたが、設計と施工のどちらに進むべきか迷っていたそうです。インターンは、その迷いを解消する機会でもありました。
「設計と施工は、どちらが上で下という関係ではなく、役割が違うだけだと頭では分かっていました。でも実際に現場を見ないと、自分がどちらの景色に惹かれるのか判断できないと感じていたんです。」——そう語るOさんの言葉には、進路選択に真剣に向き合う学生らしい誠実さがにじんでいました。
インターンの種類と期間
Oさんが経験したインターンは2回あります。
| 時期 | 種類 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 大学3年夏 | 短期インターン | 2週間 | 現場見学・設計部体験 |
| 大学4年春休み | 長期インターン | 2か月 | 施工管理の補助業務 |
最初の短期インターンで業界の雰囲気をつかみ、その上で長期インターンでより深く飛び込むという順番は、結果的にとても良い流れだったとOさんは振り返ります。いきなり長期から始めていたら、自分に向くかどうかの判断がつかないまま時間が過ぎていたかもしれない、と話していました。
短期インターンでの学び
最初の2週間のインターンでは、会社の全体像を知ることができました。
- 本社での会社説明会
- 設計部での図面作成体験
- 現場見学(3か所の現場訪問)
- 先輩社員との座談会
- 簡単な書類業務の補助
「この2週間で、建設会社には現場以外にも設計・積算・営業など多様な職種があることを知りました。会社の規模感や雰囲気も掴めたのが大きかったです。」
特に印象に残ったのは、先輩社員との座談会で「失敗してもいいから、自分の頭で考えるクセをつけなさい」と言われたことだったそうです。学生時代には少し怖さもある言葉でしたが、後から思い返すと、この業界でキャリアを築く上での大切な土台になったと感じているといいます。
長期インターンでの経験
大学4年の春休みに参加した2か月の長期インターンは、より実務に踏み込んだ内容でした。
- 施工管理技士の補助として現場に出勤
- 毎朝の朝礼・KY活動に参加
- 写真撮影・日報作成
- 図面の確認
- 職人さんとの基本的なコミュニケーション
- 安全パトロールへの同行
「実際に2か月間現場に通うと、施工管理の仕事の1日が見えてきます。忙しさや難しさを肌で感じられたのが最大の収穫でした。」
毎朝の朝礼から帰り際の片付けまで、施工管理の一日は段取りの連続です。自分が関わる一つの現場だけでも覚えることが山ほどあり、先輩方はそれを複数現場同時に回している——その事実に触れたことで、仕事の奥行きに対する見方が大きく変わったと振り返ります。
インターンから内定へ
2か月の長期インターンを経験した後、Oさんはその会社に就職したいと強く思うようになったそうです。
- 会社の雰囲気が自分に合っていた
- 先輩社員との関係が良好だった
- 仕事の内容に興味が持てた
- インターンでの評価が内定につながった
「長期インターン終了後、人事の方から『良ければ正式にエントリーしませんか?』と声をかけてもらえました。そのまま就職活動の軸を決めました。」
インターンで評価されたこと
Oさんは後で人事担当者から、インターン中に評価されていた点を教えてもらったそうです。
- 時間厳守とまじめな姿勢
- 積極的に質問する姿勢
- 先輩社員との円滑なコミュニケーション
- 指示されたことを確実にこなす
- 現場でも気後れしない性格
特別なスキルや派手な実績が評価されたわけではなく、社会人としての基本的な姿勢が見られていたことに、Oさん自身が後から驚いたそうです。学生のうちにいかに当たり前を当たり前にできるか——それがインターン先でも、入社後の仕事でも、評価の土台になっていくことを実感したと話していました。
入社後のギャップ
インターンを経験していても、正社員として入社すると違うと感じた点もあったそうです。
- 責任の重さが全く違う
- 覚えることの多さ
- 判断を求められる場面が増える
- ミスした時の影響の大きさ
- 数字(工期・コスト)への意識
インターンの時は「見学」や「補助」という立場で守られていた部分が、入社後は自分の判断として返ってきます。最初は戸惑うことも多かったそうですが、インターンで現場の空気を知っていたからこそ、ギャップの受け止めが早かったとも感じているそうです。
現在の仕事
入社2年目のOさんは、現在以下のような業務を任されています。
- 現場での写真管理
- 日報・安全書類の作成
- 簡単な工程表の更新
- 職人さんへの軽微な指示
- 2級建築施工管理技士の勉強
一つひとつは地味な業務に見えるかもしれませんが、それらが積み重なって現場は動いています。任される範囲が少しずつ広がっていく手応えが、今のOさんにとって一番のやりがいだそうです。
学生へのアドバイス
Oさんから、これから就職活動をする建築系学生へのアドバイスをいただきました。
「建設業界を少しでも考えているなら、絶対にインターンに参加するべきです。特に長期インターンは、会社と仕事の実態を理解する最高の機会です。複数の会社のインターンに参加することで、自分に合う会社を見つけやすくなります。」
- 大学3年の夏から積極的に応募
- 複数の会社を比較検討
- 短期と長期の両方を経験
- 現場を実際に見ることが重要
- 社員の方と積極的に話す
インターン先で感じた違和感や、逆にしっくり来た部分は、就職活動の面接でも必ず自分の言葉として生きてきます。借り物ではない、自分の体験から出てくる言葉こそが、選考の場でも説得力を持つのだとOさんは強調していました。
インターンの探し方
建設業界のインターンを探す方法を紹介します。
- 就職情報サイトでの検索
- 大学キャリアセンターの紹介
- 建設会社の新卒採用ページ
- 業界団体の合同説明会
- OB・OG経由の紹介
情報源は一つに絞らず、複数を並行して追いかけるのがおすすめです。大学のキャリアセンターには毎年の採用動向が蓄積されていますし、OB・OGの話は公式情報ではわからない現場のニュアンスを教えてくれることがあります。
まとめ
Oさんの経験は、学生時代のインターンが就職とキャリア選択にどれだけ大きな影響を与えるかを示しています。建設業界を目指す学生は、ぜひインターンシップを積極的に活用して、自分に合う会社と仕事を見つけましょう。早めの行動が、満足のいく就職活動につながります。
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