飲食店で10年働いた後、32歳で鳶職に転職した男性に話を聞きました。「まったくの異業種から現場に飛び込んだきっかけは何だったのか」「3年経った今、後悔はないか」——リアルな体験談を通じて、異業種からの建設業界転職をイメージしていただければ幸いです。※プライバシー保護のため仮名で紹介しています。
建設業界は外から見ると敷居が高く感じられる職種が多いのですが、実際には異業種から転身して活躍している方も多い傾向があります。とくに鳶職は体力と安全意識が重視される仕事で、前職の業種にかかわらず一から取り組める余地が大きい職種のひとつです。Aさんの体験談は、異業種からの挑戦を考えている方にとって参考になる点が多いはずです。
取材対象:Aさん(仮名)のプロフィール
- 年齢:32歳(転職当時29歳)
- 前職:居酒屋チェーン店長(勤続10年)
- 現職:鳶職(足場鳶、3年目)
- 在住:関東地方
飲食業で10年働いた経験を持つAさんは、店長として複数のアルバイトを束ねる立場にありました。体力にはもともと自信があり、学生時代は運動部に所属していたとのこと。家族ができたことで生活スタイルを見直したいと考え、具体的な選択肢として建設業界に目を向けるようになったそうです。
転職のきっかけ
「飲食店は好きだったんですが、夜型の生活リズムが家族にとって辛くなってきました。子供が生まれたタイミングで、生活を立て直したいと思ったんです。」
Aさんは店長として一定の収入はあったものの、休日の取りにくさと深夜帰宅が続く働き方に疲れを感じていたと言います。異業種への転職を考える中で、昔から体を動かす仕事に興味があり、友人の紹介で鳶職を知ったそうです。「外で体を動かし、日中に働ける仕事」という基準で選んだ結果、鳶職にたどり着きました。実際に現場見学に行き、先輩職人の働きぶりを見て心が動いたことも決断を後押ししたと話してくれました。
未経験で始めた最初の1年
入社後はまず「足場の組立て等特別教育」を受講し、先輩について資材運搬や簡単な組立て作業から始めたと言います。
- 最初の3か月:資材運搬、道具の片付け、先輩の補助
- 半年後:足場の基本部位(建地・布・腕木)の組立て
- 1年後:3階建てまでの住宅足場を主担当で任される
「最初は手が荒れて夜眠れないこともありましたが、3か月くらいで体が慣れました。先輩方がみんな優しくて、わからないことは丁寧に教えてくれたのが救いでした。」仕事の覚え方のコツは、先輩の手元と動きを盗むことだったそうです。言葉で説明されてもイメージがつかみづらい作業も、何度も同じ動きを目で追ううちに自然と身体に入ってきたと振り返っています。
給与と休日の変化
前職と現職の条件を比較してもらいました。
| 項目 | 前職(飲食店長) | 現職(鳶3年目) |
|---|---|---|
| 年収目安 | 約400万円 | 約450万円 |
| 勤務時間 | 13:00〜25:00 | 7:00〜17:00 |
| 休日 | 週1日(不定休) | 週休2日制 |
| 家族との時間 | ほぼ取れず | 毎日夕食を一緒に |
「年収は少し上がりましたが、それ以上に生活リズムが変わったことの影響が大きいです。朝が早い分、夕方以降の時間が家族と過ごせる時間になりました。」家族と夕食を一緒にできるようになったこと、休日にお子さんの習い事を応援できるようになったことが、何より大きな変化だとAさんは語ります。早寝早起きの生活に慣れるまでは少し戸惑いもあったそうですが、今ではすっかり現場のリズムが身体に染み付いているようです。
苦労したこと
「最初の数か月は、本当に体力的にきつかったですね。重い資材を担いで階段を上がるだけでヘトヘトでした。あとは高所作業の恐怖心に慣れるまでも時間がかかりました。今でも強風の日は怖いですよ。」
一方、職場の人間関係については「事前に想像していたよりずっと穏やかだった」とのこと。「怒鳴られるイメージを持っていましたが、安全に関することは厳しく、それ以外は普通の職場と同じでした。」高所作業の恐怖心に関しては、無理に克服しようとせず、怖さを忘れないことが安全につながるという姿勢で向き合っているそうです。ベテラン職人ほど慎重で、決して油断しないという現場の空気感が、自分にも良い影響を与えていると感じているとのことでした。
これから転職を考える方へ
最後に、異業種から建設業界を目指す方へのメッセージを伺いました。
「体力に不安があっても、最初の3か月を乗り切れば慣れます。大事なのは『教えてもらう姿勢』と『安全を守る意識』の2つだけです。あとは真面目に続けていれば、ちゃんと評価してくれる業界だと思いますよ。」特別な素質よりも、毎日の現場に誠実に向き合うことが一番大切だとAさんは強調していました。不安があっても、まずは現場見学や短期の体験入社から始めてみれば、自分に合うかどうかの感触はつかめると教えてくれました。
まとめ
Aさんの体験は、異業種から建設業界へ転職するイメージを掴むうえで参考になる事例の1つです。どんな仕事にも向き不向きはありますが、「生活リズムを整えたい」「手に職をつけたい」という動機で転職を検討している方にとって、建設業界は現実的な選択肢になるでしょう。
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