25歳で内装工事会社を起業した若手経営者のRさん(仮名)にお話を伺いました。若いうちに独立を決めた理由、起業の困難と喜び、そして若手経営者ならではの視点について率直に語ってくれました。
若くして独立するには勇気だけでなく、冷静な計算力も求められます。Rさんの話からは、勢いだけでなく緻密な準備があったからこそ今があるという実感が伝わってきました。
取材対象:Rさん(仮名)のプロフィール
まずはRさんの基本情報をご紹介します。20代半ばで独立し、短期間で従業員を抱える会社に成長させた歩みは、若手にとって参考になるはずです。
- 年齢:28歳(起業は25歳)
- 学歴:工業高校 建築科卒業
- 職歴:内装工事会社7年→独立3年目
- 会社:内装工事の一人親方からスタート、現在は従業員3名
- 専門:クロス貼り・内装仕上げ
学校を出てすぐに現場に飛び込み、若いうちから本格的な技能を身につけてきた点が、早期独立を支える土台となりました。
独立を決めたきっかけ
「高校卒業後、内装工事会社で7年間働きました。25歳になった時、『一生雇われで働きたくない』という気持ちが強くなり、独立を決意しました。若いうちなら失敗してもやり直せると思ったんです。」
Rさんは7年の経験で基本技能は身につけていましたが、経営の知識はほぼゼロからのスタートだったそうです。
独立を決めた時点では不安も大きかったものの、失敗を恐れて動かないほうがもっと後悔すると感じ、思い切って一歩を踏み出したと話してくれました。
独立の準備
独立に向けてRさんが行った準備は次のとおりです。
- 貯金(300万円を目標に)
- 工具の自己購入
- 軽バンの購入
- 会社の上司への事前相談
- 取引先候補の開拓
- 開業届・税務手続きの学習
「会社には独立の意向を早めに伝えました。快く送り出してくれて、独立後も仕事を回してくれるという約束までしてもらえました。」
円満な形で退職できたことが、独立後の仕事の流れを支える大きな財産になったと振り返っています。
独立初年度の苦労
独立1年目は、想像以上に苦労が多かったといいます。
| 苦労 | 対応 |
|---|---|
| 仕事の波 | 繁忙期と閑散期の差 |
| 確定申告 | 税理士に依頼 |
| 営業活動 | 人脈を頼る |
| 資金繰り | 運転資金の管理 |
| 孤独感 | 1人で全てを決める |
会社員の頃は当然のように支えてくれていた同僚や総務部門がいなくなり、その有難みを改めて感じたそうです。
最初の仕事の獲得
独立後の最初の仕事は、前職の上司からの紹介だったそうです。
「前職で築いた信頼関係が、独立直後の最大の武器でした。『お前なら任せられる』と言ってもらえた時は嬉しかったです。最初の3か月は前職関係者からの仕事で食いつなぎました。」
この経験から、日頃の人間関係がどれだけ大切かを実感し、取引先や同業者との関係を丁寧に育てるよう心がけるようになったそうです。
営業活動の苦労
若い経営者にとって、新規の営業活動は大きな課題でした。
- 「若すぎて信頼されない」と感じた
- 飛び込み営業は効果がなかった
- 同業者からの紹介が最も有効
- SNSでの発信が徐々に実を結ぶ
- 既存顧客のリピートが増加
営業は一朝一夕には実らない分野ですが、地道な発信と誠実な仕事ぶりが少しずつ実績を呼び込んでくれたといいます。
独立2年目の変化
独立2年目で、徐々に事業が軌道に乗り始めました。
- 取引先が5社に増加
- 月の売上が安定
- 初めての従業員を雇用
- 仕事の断りも出始めた
- 個人事業の法人化を検討
依頼が集中する時期には断らざるを得ない仕事も出てきて、事業を拡大するか維持するかを考え始める段階に入ったそうです。
従業員を雇うことの重責
「1人でやっている時と、従業員を雇い始めてからでは、責任の重さが全く違います。自分1人なら失敗しても自分が困るだけですが、従業員の生活を守る責任ができた時、『経営者になった』と実感しました。」
従業員の生活を背負うプレッシャーは想像以上だったそうですが、その分、経営者としての覚悟も深まったといいます。
現在の事業
独立3年目の現在、Rさんの会社は以下のような体制です。
- 個人事業主(将来的に法人化予定)
- 従業員3名(職人2名、事務1名)
- 年商:約2,500万円
- 主な取引先:工務店・リフォーム会社・マンション管理会社
- 自身の年収:約500万円
事業は順調に成長しつつありますが、Rさん自身は「まだまだ道半ば」と謙虚に語っていました。
若くして経営者になるメリット
若い経営者ならではのメリットを聞きました。
- 失敗してもやり直しがきく
- 学ぶ意欲が旺盛
- 最新技術への柔軟性
- SNS等の活用力
- 若手従業員との距離の近さ
- 30代の成長期と事業拡大が重なる
若さは時に経験不足として見られがちですが、柔軟さと吸収力という形で必ず武器に変えられるとRさんは語ります。
若くして経営者になるデメリット
一方で、若いがゆえの困難もあります。
- 経験不足で判断に迷う
- 周囲から軽く見られがち
- 同世代に経営者仲間がいない
- 銀行融資の審査が厳しい
- 古参の職人との関係構築
これらの課題は経営者コミュニティや勉強会に参加することで少しずつ解消していけるそうです。
将来のビジョン
Rさんが描く将来のビジョンを聞きました。
「5年以内に法人化して、従業員を10名まで増やしたいです。10年後には、地域で一番信頼される内装工事会社を作りたい。そして若い職人たちに技能を継承できる場所にしたいと思っています。」
事業の拡大だけでなく、地域の若手が学び育つ場を作ることに大きな意義を感じているそうです。
独立を考える若手へのアドバイス
「独立を考えている若手の方には、まず十分な準備をおすすめします。技能と経験、最低1年分の生活費の貯金、信頼できる取引先候補——これらが揃ってから独立するべきです。勢いだけで独立すると、必ず苦しみます。でも、準備をしっかりすれば、若さは大きな武器になります。」
独立後に相談できる先輩や仲間を持っておくことも、心の支えになるそうです。
まとめ
Rさんの経験は、若くして起業することの可能性と厳しさの両方を教えてくれます。若さを武器に挑戦する姿勢、周到な準備、そして長期的な視点——これらが揃えば、20代の独立も十分に実現可能です。建設業界で独立を目指す若手の方にとって、励みになる事例でしょう。
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